「いえ。そんな……」

私、話しかけられて嬉しいけど、ちょっと戸惑う。


「今日、水原さんに尋ねられたね」


「何をです?」


「彼女のこと」


「ERENAさんのことですか?」


「うん」


「すいません。たまきは悪い子じゃないんです。ただお調子者で相手に対して失礼なことまで何も考えずベラベラ喋っちゃう子なんです。悪気はなかったんです」


「いや、僕が悪いんだ」


「どうして?」


「急に怒ったりしたから」


「そんなことありませんよ。ERENAさんのこと聞かれて気分を害したんでしょう?」


「いや、僕が大人気なかった」


「なんで怒ったんですか?」


「彼女は僕の友達の姉なんだ」


「それで?」


「家に遊びに行って気に入られた」


「そうだったんですか」


「それから、つきまとわれてね」


「そうだったんですか」


「しつこくて嫌な人なんだ」


「はあ」