チェリーガール

外の寒気が、私の肌を刺す。


吐く息は白く、厳しい寒さに手をこすり合わせずにはいられない。


ビルの前には数人の受講生がいた。


「じゃ、お疲れ。ストーカー頑張って」


後ろからたまきに背中を叩かれる。


たまきは、夜の闇に消えていった。


授業が終わって帰る時、ここで碧様を出待ちする。


すぐ出てくるはずだ。


最近は、ストーカーA子さんを見つけるべく学校がある日も後をつけまわす。


45分の有酸素運動もなんのその。


運動は習慣になった。


待つこと数十秒で碧様は姿を現した。


自動ドアを通り抜けて、碧様はいつもの方角へと向かう。


後をつけようとした、その時だった。



「心愛! これ忘れてたよ!」



すだちが後ろから大声で私を呼び止める。


見ると、キャンディの袋を手に持っている。


私、それを受け取る。


休み時間に、すだちの机に置き忘れたんだ。


「学校で渡そうと思ったけど忘れないうちに渡しておこうと思って……。碧君、こっち見てるよ。せっかく今日、話ができたんだから帰る時『バイバイ』くらい言ったら?」


ひそひそ声で私に恋のアドバイスをする、すだち。


見ると碧様は本当に顔をこちらに向けて、じっと私を見ている。


見られちゃってるよー、私。


超恥ずかしい。


碧様の視線で溶けちゃいそう!!

 
や~ん♡