パッと顔を上げると、真っ赤な顔の慶太くんが目の前にいて。 さっきの言葉は現実なんだって思わせてくれた。 「あーっ!! さっきの…忘れて……!!」 掴んでいたあたしの手を離し、慶太くんは言う。 「………悲しい事、あったんだろ? ……歌お」 「え…?」 「悲しい時こそ、歌うのが一番だから… 俺も、歌に救われたから」 そう言った時のどこか悲しげな表情。 何があったのかは知らないけど…………