「…何で?」 剣が俺を貫く事なく、莉子のそんな声が降ってきた。 俺は目を開ける。 視界に写ったのは、今にも泣きそうな莉子の顔だった。 「何で…あなたは敵の筈なのに…。 何でこんなに好きなの…?」 莉子…? 莉子の瞳に涙が溜まっていく。 「あなたは倒さなきゃいけないのに!それが私の役目なのに!なのに…。」 落ちた涙が、俺の頬を濡らす。 「何で、腕に力が入らないの…?」