薬を餓鬼に渡した瞬間、主人のそんな声が聞こえた。 「あ、悪い。金なら払うから。」 「いやそうじゃなくて!!」 財布を出そうとした俺の手が止まった。 「湊さん…ソイツ海の民なんですよ!?」 「知ってる。」 俺は餓鬼に視線を送る。 分かってくれたのか、ソイツは薬を抱えて走り去った。 「何で海の民に薬を売るんですか!?アイツ等は、俺達の敵ですよ!?」 「敵だけど…同じ人間だろ?」