仕事から帰る途中に同僚と仕事の話しながら焼き鳥食ったよな…

でも今日はこの前の飲み屋の立て替えのお礼とかで奢ってもらったしな…

家についてからは…ジャージに着替えて…どういう訳かコーヒーが飲みたくなって…

で…コーヒー煎れて…ジーンズは…脱いだまんまだったよな…

「すっ…少し待っててください…」

「では次のお客様から後ろの方は隣のレジへどうぞ~」

俺は「すみません」と言いながら振り返ってギョッとする。

俺の後ろに5人も並んでたのだ。


俺に他の客からの冷たい視線が突き刺さる。
俺の頭の中はもうパニックだ。


俺は一度探したポケットに何度も手を突っ込み、尚且飛び跳ねて小銭のが無いか確かめる。

やがて他の客が会計を済ます頃には、俺はある結論に達する。



やべぇ…財布忘れた…

「ハ…ハハハ…」

店員に見つめられるなか、俺の乾いた笑い声が響く。


今更財布忘れて買えませんなんて言えないしな…いやむしろ正直に言って買うの止めるか?いやいや…そもそも…

俺は答えの出ない自問自答にジタバタする。

端から見たら只の危ない人だろう。


仕方ねえ…店員に謝って一度財布取りに帰るか…

なんて覚悟を決めて、俺は店員に話し掛ける。

「あの…すいません…」


ガーーーー

「いらっしゃいませ、こんばんわ~」

「お、篠田か、久しぶり~」

え?

振り返ると小学校からの親友の田嶋が立っていた。

スーツ姿のところを見ると仕事帰りだろう。

俺は迷わず親友のところに走り寄り、手を握って言った。

「田嶋ぁ、良いところに来たぁ!お前に頼みがある!お前にしか頼めねえ!」


「ん?」