キィィンッ!

キィンッ!

ズガァァァン!

広間に刃と刃が交わる度に散る火花と金属音、人知を越えた術による光や爆音に包まれる。
まるで古の神々と魔王との間で行われた戦のようだ。

やがて悪魔達は一匹また一匹と消えていき、そして今最後の一匹も地獄へと送り還された。
しかし天使の方もかなりの深手を負っている。

「貴様だけはこの手で倒す!我が主の名の許、光の翼に深き謝意を捧げ、あるべき場所への帰還を命ず!」

光と共に天使は掻き消え、そして俺は腰の刀を抜き八双に構える。
奴はと言うと余裕からか構えずに刀を担いだままでいる。

実は昔から奴との喧嘩に勝ったことがないのだ…

奴はニヤリと口許だけで、笑いかかって来いと言わんばかりに挑発する。


なにがおかしい…


怒りのあまり、俺は頭から突っ込む。がそんな刃は到底届く筈がなく、簡単に弾かれ更には返す刃で頬を斬られる…

それを幾度か繰り返し俺は我を取り戻した。これでは勝てるわけない、勝ちたければ奴の一挙手一投足を見逃すな。
そう自分に言い聞かせて構える。
実のところ俺には無駄に動けるような体力はもう残されていなかった。

覚悟をきめるか…

そんな俺の心中を察したのか奴も構える。

向こうから来てくれるのか、有難い…この一撃で終わらせる!

「いざ!」
『勝負!!』


交錯する影。

やがて片方の影が血飛沫をあげて倒れる。その胸には深々と刺さった刀。

かくして決着はついた…