我が主命により、この神殿の守護を仰せ遣ってから幾星霜が過ぎ去ったのだろう…


既に体は苔蒸し、我を飾る石の服も風化の兆しが見える…


今より数千年前「あれきさんだー」なる若者が主が宝物を奪いに来たが、我の一吠えで尻尾を巻いて逃げおった…


数百年前は「なぽれおん」なる男が盗みを働きに来たが、我が一睨みで慌てて逃げおった…


我はこのまま朽るのだろうか…



…守護者としてはそれも良いであろう。それが本来の与えられた役目。



しかし我に眠る武人が誇り、躯共々朽果てさせるのは口惜しい。



故に我を討ち倒せし者に、神々の称賛とこの宝物を得る権利を与えようかと思う。



既に主無きこの宝物殿を我が墳墓とするも良いかもしれん…



ふ……誰ぞ来おったか…


…数千年ぶりの戦だ…少しばかり我を楽しませてくれ…


『貴様は何者ぞ。ここを我が主の宝物殿と知ってのろうぜきぞ?ならば我は守護者として貴様の様な不届き者に誅罰を与えん!我はスプリガン、かかって参られよ!』



さぁ…いざ、死合わん!


END