だけど結局「明日」は来なかった。


次の日もその次の日もそのまた次の日も。


ずっとあの日…「八月三十一日」を繰り返した。



試しに五日目の「八月三十一日」の朝御飯で目玉焼きと答えてみた。だけど失敗したとかでオムレツが出てきた。


六日目の「八月三十一日」のコウタとのゲーム勝負はワザと負けようとしたが、駄目だった。


七日目の「八月三十一日」の晩御飯は、流石に7連ちゃんグラタンだときついので別のにしてもらおうとしたが無駄だった…

泣きたくなった僕は、ご飯も食べずに部屋に閉じ籠ってしまった。

ベッドに横になり考えた。どうしてこんなことになったのか…いくら考えても思い浮かぶのは、そら耳にも思える一日目の「八月三十一日」のあの声。

僕は後悔した。例え冗談だとしてもあんな事は言うべきでは無かったと。


僕はふと思い出した。昔お爺ちゃんが言ってた。「言葉には魂がある」って話を。
なんでも言葉に込められた魂は、その言葉を現実にする力があるのだと。
だとしたら僕はとんでもない事を言ってしまった。

激しい後悔の念が僕を包む。

僕は祈った。もうあんな事は言いません。だから「明日」を下さい。もう一度「明日」を僕に下さいと必死に願った…

そして僕はいつしか眠りについた…





07:00AM
「おはよぉ…」

「あら、元気ないわね。早く食べちゃいなさい。遅刻するわよ」

「は~い…」



…え?

僕は驚いて新聞をみる。

日付は「九月一日」


呆然と立つ僕の目からは、涙が溢れた。


急に僕が泣き出して、母さんがビックリしてたけど…


でも僕は…今日ほど朝が来てくれて嬉しかったことはなかった。



「アナタノネガイカナエマシタ…」



END