モチベーションの下がった俺は文字通り最悪。蹴りを受け損ねてアバラは折るわ、なし崩し的に一本敗けを食らうわ…試合中に見たらイチャイチャしてやがるし…全然応援してねーじゃん、マネージャー…



そして今に至る…

「あぁぁぁ…俺の三年間は一体何なんだ…マジ最悪だ…」

意気消沈どころでは無い。漫画的に解釈したら確実に真っ白+影線付き。


控室の暗闇の中に独り、パイプ椅子にポツンと座る。

親友に想い人をとられた悔しさ、
そして何より空手の試合に全力を出す事が出来なかった自分の情けなさに腹が立って、もう何も考えられない…

俺は自分の下心の為に空手さえ裏切ったのだ…


あぁ…ほんと情けなくて涙しかでねぇや…



トントン…


誰かが控室のドアを叩く。


誰だ…?優だったらぶん殴ってやる…

暗黒のフォースに支配された俺は、そう思いながらドアを開ける。


立っていたのはサブマネの「坂本愛」だった…

「どした坂本?もうバスの時間か?」

思いがけない訪問者に戸惑いつつも、努めて冷静に接する。

…暗いから涙の跡なんて分からないよな…


「ま、まだです。…あ、あの、先輩!お疲れ様でした!」

「はは…ありがと…情けないね。一生懸命応援してくれたのに負けちゃって、ゴメンな…」

なんか乾いた笑いしかでないや…


そんな俺の気持ちを知らずか、坂本は続ける。

「そんな事なかったです!誰よりも遅くまで残って…辛い練習にも耐えて、他の誰よりも頑張った先輩は情けなくなんかありません!」

思いがけない様な坂本の優しい言葉に心が軽くなった気がした。