俺は空手部マネージャーの「林圭織」にフラれた。正確にはフラれたとは少し違うが、失恋には違いない…

空手の高校総体決勝で優勝したら告白して、優勝の栄冠より望んでいた「幸せ」を手に入れるつもりだった…


だけどあんなシーン見ちまったら…


アレは、そう…


~15分前~


『あと一つだね!高樹君!』

「あぁ!絶対勝って見せる!勝ってお前を甲子園に連れてってやる!」

『アハハ、空手に甲子園なんてないじゃ~ん、そんなこと言ってると負けちゃうぞ~』

「じゃあ負けたら慰めてくれるか?」

『ん~どおしよっかな~』

(よし!雰囲気は悪くない!イケる!イケるぞ俺!)

他愛の無いやりとりだが、俺は確かな手応えを感じていた。

『よぉ明良、調子はどうだ?』

「最高の仕上がりさ。おもしれぇ試合見せてやるぜ。」

コイツは「篠崎優」
親友でサッカー部キャプテン、学校で一番モテる男、噂じゃ都内一有名な女子高の生徒と付き合ってるらしい。

「ハハ、期待しないで見ててやるよ!」

優は悪態こそついてるが応援オーラがでっぱなしだ。


「任せろって!相手なんて瞬殺よ、瞬殺!交流試合でも負けたことねーしな!優勝は…」
「じゃ行こうか圭織。明良、俺達観客席から応援してるぜ!」
「うん!がんばってね!」




……ハイ?マサルサン、イマナント?オレタチ…?



えぇぇぇぇぇぇぇ!!嘘だぁぁぁぁ!!


ちょっと待て我が親友よ!何肩なんか抱いちゃってるのよ!
あぁぁぁぁ神様、どうか嘘だと言ってください!貴方は居ないんですか?どうか答えてください!