『…と言うわけなのだ。まったく「学校」とやらは本当に恐ろしい所であった。』



髭を抜かれ尻尾を引っ張られ、あれからほうほうのていで逃げ延び、今は家の近くの「猫の会議場」に逃げてきた。そしてクロベエを含めた野良猫達にこの恐怖の体験を語っているのである。


『おれの行った通りだろ?あんなとこ猫が行く所じゃにゃいって。猫の話はちゃんと聞くもんにゃ。』
『うむ。今日ほど我輩の浅知恵を恥じたことはない。やはり他猫の助言は素直に聞き入れるべきであった。』

全く顔から火が出そうである。

其にしても人間とは、誠に奇妙な生物である。あのような恐ろしい場所に毎日、しかも楽しそうに行く。全くもって理解し難い。

我輩はこの恐怖の体験を後世に伝えようと思う。我輩のような被害猫がもう出ないことを祈りつつ。






『む、ミケ坊ではないか。何処ぞへ行く気だ?』
『「学校」だにゃぁ』
『!?いかん!待て!早まるな!「学校」はな…』


END