俺はジーク。階級は軍曹。今東部戦線の最前線の狙撃部隊にいる。敵の偵察の狙撃や味方の防衛部隊の援護が主な任務だ。

普通なら狙撃=暗殺ってイメージだがそんなのはコミックの世界だけだ。暗殺なんて海兵共に任せておけばいい。



『よぅ赤目ぇ調子はどうだ?』

通信機から陽気な声が聞こえる。コイツはバーニィ、同期入隊の元相棒だ。今は別の部隊にいる。

「赤目って呼ぶな。どうもこうも無いぜ、朝から敵さんがちょろちょろ…」
タァァァァン!
「っと、今ので八人目さ。まったく…敵の侵攻が近いんじゃ無いか?そっちの隊は何か聞いてないか?」

『いんやなーんも。まぁぼやくなよ。貧乏暇無しはお互い様ってね。おっと敵さんおでましだ。通信切るぜ、またな』

「ラジャ」


ふぅと溜め息をつく。


任務が終わったら生きてる同僚集めて飲みに行くかな…


そんなことを考えながら、それから数時間は敵の偵察はおろか味方の通信さえ無かった。

煙草の吸えない俺はジャケットの胸ポケットから棒付きキャンディを取り出してくわえ、スコープを覗く。


特に異常は無し…と。

すると不意に


ィャァァァァァァ!

かんだかい叫び声


今俺がいるのは半分崩れたビルの上、そのビルの下から女の悲鳴が聞こえる。状況確認の為スコープを覗く。見えるのは若い女に一人に二十歳そこそこのガキから中年の髭親父まで四、五人。ナリから見て最近増えた野盗だろう。大方拐って来た女を売る前に自分達がまず楽しもうってハラだろう。


「…ッチ、むなくそ悪ィ」

俺には故郷に残して来た妹が居る。だから同じ年頃の女がそういう目に合うのは堪えられない。


俺はライフルを構え照準を合わせ呟く。

「REDEYE エイミングスナイプモード、セット…」