彼の指は私の頬をゆっくりとなぞる。 通り過ぎる人が皆私たちの方を振り返り、何か言っている気がする。 …鏡なんか見なくても、顔が真っ赤になってるのがわかる。 「ま、松島…さん」 「駄目。下の名前」 そう言われますます恥ずかしくなってきた。 早く言わないと! …そう思っても口が動かない。 ………えぇい! 「…千尋、さん」