本当は誰かに縋りたくて。
そばにいてほしくて。
でも、言えなくて。


こんな私には誰も近づかない。


―――そう思いながら生きてきた。






まどろみの中で、私が見ているのは松島千尋。


彼は遠くにいて、こっちなんか見てはくれない。


呼べば振り向いてくれるんだろうか。
私のそばにいてくれるんだろうか。






「…千尋さん」


私は小さな声で、彼の名前を呼んでいた。