もしかしたら。 もしかしたら、松島千尋は本当に私を救ってくれるのかもしれない。 心のどこかで、そんな風に思い始めていたのかもしれない。 ―――苦しい。 二人のキスシーンが何回も何回も頭を巡る。 涙は止まらなくて、私は先輩から借りたタオルで顔をずっと覆っていた。 「…先輩」 「なんだ?」 先輩は私の隣に座り、ただ静かに返事をした。