グリーンライダー

 ハリーは朝食を出してくれた。
 俺の事を気遣ってか、日本食だった。
 少し離れるだけで、白いご飯が恋しくなるのは日本人なら誰でもわかってくれるだろう。
 俺は素直に感謝の意を伝えた。
 「日本食には興味があったのです」
 そう言って、梅干しを食べたハリーは、案の定顔をしかめた。
 「日本の人はこんな奇妙なものを食べるのですか?」ハリーはお茶で、口の酸っぱさを緩和している。
 俺は前に聞いたことのある、食文化の違いについて話した。
 日本などの東洋の食文化のように多数の食べ物を一緒に食べるのとは異なり、西洋の食文化は単品ずつ食べると聞いたことがあったからだ。
 だから、梅干しを食べてご飯を食べるということをハリーは知らなかったのだろう。
 「なるほど、そうだったのですか」
 ハリーはそう言って、早速ご飯と梅干しを試している。
 「とても美味しいですね」
 そんなハリーを見て、俺は気になったことを聞いた。日本語がそんなに上手いのに、知らなかったのだろうか?
 ハリーは答えた。
「私は日本語を話せません」
 ならば、一体俺とハリーはどうやって意思疎通をしているというのだ?
 続けて聞いてみた。
 ハリーはさらりと答える。
 「簡単です。私たちは、互いの魂で通じ合っているのです」