後から思うに、初対面のハリーの言うことをよく信じたものだ。
 しかし、それだけ奇怪な体験だった。
 だから、無意識の内に自分に都合のいいことを信じてしまったのだ。
 と、後付けして理由を導き出せる気がするが、これもまた自己満足に過ぎない。

 俺が自分の中で納得していると、ハリーが口を開いた。
 「ところで、あなたはこれからどうするのですか?」俺は少し悩んでから、わからない、と正直に答えた。「良ければ、しばらくの間ここに居ませんか?客人は久しぶりなので話をしたいですね」
 行く当てのない俺には、願ってもないことだ。
 二つ返事でOKをした。

 その代わりと言うのも厚かましいが、俺はいつ帰れるのかと尋ねてみた。
 「すみません。判りません」ハリーは頭を下げる。俺も謝り、慌てて頭を下げた。
 そしてどちらからともなく、少し吹き出した。
 「本来、この場所はあなたの居る場所ではありません」
 ハリーは笑いを噛み殺して言う。
 「だから、時が経てば戻れるでしょう」
 それを聞いて、俺は心から安堵をした。
 その証拠に眠たくなる。
 自然と欠伸がもれた。
 「お疲れのようですね。眠りますか?」
 ハリーがそう言うと、ハリーの後ろに俺が眠っていたベッドが現れた。