グリーンライダー

 グリーンライダー
 そう言ったハリーの眼は、緑色をしていた。
 ハリーの話は続く。
 「そんな彼にも、将来を誓い合った女性がいました。その女性は美しく、優しい女性でした。
 彼は、自分がしていることを、その女性には話しませんでした。
 彼は、自分がしていることが、世間的には犯罪者と変わらないことを知っていました。
 だから、怖かったのです。万が一、彼女に自分を否定されることが。
 自分を信じて裁きをしている間も、彼の葛藤は続きます。
 自分を信じ、彼女を愛しているなら、自分のしていることを胸を張って言えるはず。
 言えないということは、自分自身を否定することになる。
 それが解っていて尚のこと、彼は言えずにいたのです。
 そんなことが続けば、彼女が気付かないはずはありません。
 彼女は彼に優しく問い掛けました。
 何を悩んでいるのか、と。
 彼の心は大きく揺れ動きます。
 愛する人に秘密を持つのは、人を孤独にします。
 そして、人間は孤独には勝てない生き物なのです。
 彼もまた、か弱い人間の一人でした。
 彼は孤独に負け、彼女に自分のしていることを告げました。
 事実を知った彼女は、愕然としました。
 そして当然、彼に自首をするように願いました。