グリーンライダー

 高校を出た俺は、大学へと進む。
 そして何事もなく2年が経った頃、同窓会があった。
 いつの頃の同窓会かは忘れたが、そこで俺は彼女と再会したというわけだ。

 そこまで話したところで、俺はふと気が付いた。
 前に感じた妙な違和感の正体に、だ。
 いつの頃の同窓会かは別として、俺の記憶の中に彼女がいないのは少しおかしくないか?
 俺はつい、ハリーにその疑問をぶつけてしまった。
 ハリーが答えられるとは思えないのに、である。

 だが、ハリーは俺の予想を良い意味で裏切って答えてくれた。
 「勝手な予想に過ぎませんが」
 ハリーはそう前振って続ける。
 「あなたと彼女は、お互いに思い違いをしていたのではありませんか?」
 ハリーは言った。
 思い違い?
 その言葉を聞いた俺は、同窓会の幹事の顔を思い出した。
 小学生の頃の同級生だ。間違いない。
 そしてそいつは転校生だった。
 もしかして、再会したと思っていた彼女とは、初対面だったということだろうか。
 何故、今まで気が付かなかったのかが不思議だが、その謎にもすぐに答えが出た。
 同じクラスに、彼女と同じ名前の女の子がいた。恐らく、幹事の連絡ミスであろう。
 当然、彼女は気が付いていたのだろうが、敢えて場を乱すことを嫌ったのだろうな。
 俺の頭の中にそんな推測が浮かび、推測はやがて自分の中で確信に変わる。
 「しかし、初対面にしては、あいつ馴れ馴れしかったな」
 俺は彼女の笑顔を思い浮かべながら、ぼそりと呟いた。