グリーンライダー

 俺がハリーと暮らし始めて、一週間ほどが経過したある日。
 ハリーの影響ですっかり読書家になっていた俺は、読み進める形のミステリーを読んでいた。
 バイオレンス菊地さん・王道赤川さん・たまのSF田中さん。
 どの作家も作品の多さでは有名である。
 有名な作家である彼らの作品は、読書初心者の俺でも読みやすい。

 読書をしていると、時間は過ぎていき、やがて夜になった。
 ハリーはずっと起きているらしいが、俺は夕食を摂ってから眠るのが習慣になりつつあった。
 その日の夕食の時である、ハリーが俺に頼みごとをしてきたのは。
 「あなたのことを教えてもらえませんか?」
 ハリーは言った。
 俺は自分の人生は普通そのもので、面白くないけどいいのか?
 と聞き返した。
 ハリーは大きく頷き、満面の笑みを浮かべる。
 出会ってから一番の笑顔だった。
 散々世話になったのだから、自分の過去を話すくらい何ともない。
 お安いご用というやつだ。
 さて、どこから話したものか。
 俺はそう呟いた。
 「どのような幼少期でしたか?」
 ハリーが言った。
 俺は記憶している限りの、子供の時のことを話した。話している内に、自分でも忘れていたことが次々と甦ってくる。