グリーンライダー

 朝起きて朝食を食べたら、昼食まで読書。
 そして再び読書をして、夜になるのであった。
 ハリーはそんな生活を、ずっと続けているらしい。
 よく気が狂わないものだ。俺がそう言うと。
 「孤独に耐えるのが、私の永遠の贖罪ですから」とハリーは答えた。
 ハリーの犯した罪とはいったい?
 俺は喉まで出かかっていた質問を飲み込む。
 とても、気安く聞けるようなことではなさそうだ。
 俺が押し黙っていると、ハリーが口を開いた。
 「気にしないで下さい。二人でいるだけいつもより楽しいですから」
 ハリーは微笑む。
 俺は頷いた。
 「あなたが来てから、久しぶりに食事をしましたし。いつもより楽しいです」
 そこで俺は、今更ながらに気がついた。
 魂だけってことは、食事をする必要もないことに。
 そして食に固執している俺は、やはりまだ死んでいないのだろう。
 自分のことを先ず一番に考えてしまう。
 何度自己嫌悪に陥っても、どうしようもない。
 そんな自分の考えから逃げるように、俺はハリーに聞いた。
 もしかして睡眠も要らないのか、と。
 思えば、俺はハリーが眠っているのを見たことがない。
 ベッドが一つしかない時点で、気付くべきだったのだが。
 「要りませんよ」
 はたして、ハリーはそう答えた。