「…やっと、やっと逢えた…!」
結婚の日から50年。
長い時間がすぎても、龍之介さんの薫子さんへの想いは少しも変わっていないんだと思った。
龍之介さんの抱きしめる力が強かったのか、薫子さんが静かに目を開けた。
「んっ…、だ、れ…?」
まだ寝ぼけているのか、少しぼんやりとしている薫子さんを抱きしめる手をゆるめ、向き合うようにして、まだ泣いている龍之介さんが口を開いた。
「龍之介です。薫子」
龍之介さんの言葉で一気に薫子さんは目が覚めたようで、目を見開いていた。
「え…?りゅ、のすけ?」
「はい。貴女の夫の龍之介です」
薫子さんは龍之介さんの言葉を聞き、涙をポロポロと流した。
そして、龍之介さんに抱きつき大きな声で泣いた。
「うぁあー!やっと、やっと!!!会いたかった!ずっと…!!」
「ええ。私もですよ、薫子…」
僕は邪魔をするのも悪いと思い、その部屋を後にした。

