「お前、しののめ家のヤツだろ?お前は将来、しののめ家の上に立つ男なんだろう?何百何千者ヤツらを引っ張らなくちゃいけないんだろ?上に立つヤツが逃げだしたら、みんなついてこないぞ。今は苦しくても必ず役に立つときは来るはずだ。弱音は吐いてもいい。でも、逃げちゃダメだ」
少女は、言い終わると掴んでいた髪から手を離し、なんだか満足そうにまたたい焼きを食べ始めた。
《何故私が東雲家の人間だと知っているのか》
《君は何者なのか》
今すぐ聞きたいことはたくさん頭をよぎった。
でも、
「うっ、うぇ…く」
少女の言葉に強く胸をうち、しばらく私はたい焼きを頬張ったままの少女を抱きしめ泣き続けた。

