俺は、大して夢なんかなかった。
普通に生活していれば、何か見つかると思っていた。
平凡に仕事をして、平凡に家庭を作って。
そうなるだろうと思っていた。
俺の両親のように。
当時、18歳の俺は、親友の涼と毎日一緒にいた。
別に彼女を作るとかもなく、ただ一緒にいた。
コイツといると落ち着くから。
「なぁ、弘。今日、俺ん家泊まりに来ね?」
「今日か?今日は、別に予定なかったしな。お前ん家は大丈夫なのか?」
「俺ん家、いつも誰もいねーもん」
涼の両親は、忙しい人であまり家にいないらしい。
それでも、涼とは仲良くやってるとか。
まぁ、だからこんなヤツが生まれるんだろうけど。
ずっとヘラヘラしている涼を見て、自然と微笑んでしまった。
「お前って、ホントおかしいヤツだよなぁ」
「うるせぇ。じゃあ、1回家帰るだろ?それから、俺ん家来いよ」
「分かった。じゃあ、また後でな」