私は一瞬意味が理解できなかった。
「・・・え?」


聞こえているのに受け止めたくないから聞き返してしまう。
現実を突きつけられるだけなのに。


「・・・啓介くんに入院してもらって治療を受けてもらう方向で考えています。」
先生の眼鏡の奥の瞳はどこか悲しそうにも見えた。


「先生っ・・・でも・・順調だって!!・・・言ってたじゃないですか・・・。」
私は絶望でその場に泣き崩れた。



「結衣さん。大丈夫ですよ。きっとすぐに良くなって退院できますよ。」
先生はいつもの笑顔でそう言ってくれた。


「・・・はい。」
私はいつもこの笑顔に誤魔化されるんだ。