「おまえの悪行に捕まえて欲しいと依頼があったんだよ」

「悪行?」

 青年の表情に初めて変化があった。

 端正な顔立ちから表される感情はライカの神経を逆なでする。

 これはある意味、妬みのようなものなので仕方がないといえるだろう。

「大人しくしろ」

 腰の収納ベルト(ホルスター)に収めている銃のグリップに手を添えながら手錠を手に慎重に近づく。

「あ」

「え?」

 何かに気がついたようにベリルがおもむろに視線と共に小さな声を発してライカはそれに条件反射的に視線を追った。

 しかし、そこにはさしたるものもなく眉を寄せて顔を戻す。