「ここから西にある」

「西……」

 これはだめだと頭を抱える。西にあると言っても西がどっちかすら解っていない。

「こんな奴をどうしろというのだ」

 出来れば放置してやりたい。どこかで死んだとしても私の知った事か。

 しかし、ライカはセシエルの忘れ形見のようなものだ。

 このまま死なれても後味が悪い。

 眉間にしわを寄せて再び深い溜息を吐き出した。