バランスを崩し、揺れたクレーンから外れた鉄骨はレンドルの頭部に直撃した。

 ヘルメットのおかげで死なずに済んだと言われても、この状態で果たして生きていると言えるのかとシャロンは憤りを隠せなかった。

「私を捕えた処で救えはしない」

 聞きたくない言葉にシャロンは強く瞼(まぶた)を閉じた。

 ひと筋の希望があるのなら──彼女は方々を調べ尽くし、ベリルにたどり着いた。

 本当に不死なら、それを解明出来れば彼を救えるかもしれない。

 そんな希望も虚しく消えた。

 このまま二人で死のうかと考えたとき、

「カルテを見せてもらった」

 傭兵がカルテを見て解るの?

 シャロンは怪訝な表情を浮かべた。

 傭兵にだって医学の知識がある者もいれば医師免許を持つ者だっているのだが、彼女の傭兵に対する認識はその程度なのたろう。