白い建物は太陽の光を浴び、威厳をまとうようにそびえている。

 市立の病院だろうか、多くの医師と看護師がそれぞれの役割をしっかりと担うべくきびきびと働き、整った設備は安心感を覚える。

 三階は個室が多く、他の階よりもゆっくりした時間が流れているようにも感じられた。

 その一室、無骨な機械が淡々と数値を示し、そこから伸びるコードやチューブがベッドに横たわる男につながっている。

 意識のない男を見つめる女の目は死んだ魚のように濁り、疲れた様子が窺える。

 女を支える椅子までもが、崩れてしまうのではと思うほどの落胆が彼女から見て取れた。

「レンドル」

 どうしてこんなことになっちゃったの、どうしてあなたがこんな目に遭わなければならないの──?

 目を覚ますことのない男の名を呼び、涙が頬をつたう。