天使の残像

 よもや、そんな言葉が返ってくるとは思ってもいなかったベリルは、眉間に大きなしわを刻んだ。

 バックミラー越しにライカを見やると、涙目でこちらを睨みつけている。

 熊のような男が涙を貯めても可愛いとは思えない。

「そんなに言うんだったら! お前が! 俺に! 教えろ!」

「何故そうなる」

 これには参った。やぶ蛇だ。

「俺はオヤジの跡を継ぐんだ。辞めるなんて嫌だ」

 その意識だけは褒めてやるがね。心の中でつぶやき、再び溜息を吐く。

「断ったらどうする」

「無理矢理にでもついていく!」

 冗談じゃないと切れ長の瞳を丸くした。