「まったく。なんだってボスは今更、奴に狙いを付けたんだかね」

 長身の男が溜息混じりにつぶやく。

「誰も狙わなくなったものに興味を示す悪い癖をお持ちですからな」

「みんな興味を示さないんじゃない。興味を持ったって仕方がないからだ」

 半ば呆れながら発した大柄の男に眉を寄せて素早く返した。

 奴は「呪いの宝石」だ、遠くから眺めるだけに限る。

 男たちは肩をすくめて車に乗り込んだ。