「おい、いいのかよ」

 ライカは後ろを向き、遠ざかる黒いリムジンを見やる。

「名前は聞いた」

 ベリルなら倒せた数なのにと思っていたが、そうか情報屋を使って彼女についてもっと調べてからにしたんだなと納得した。

 むやみに攻撃したりも、殺したりもしない。

 やっぱり、自分が聞いてきたものとはあまりにも違う。

「死にたくなければ私に関わるな」

 無表情に放たれた言葉に、ライカはびくりと体を強ばらせた。

「この車でなければお前は死んでいた」

 言われて目を伏せる。

 今回は助かったけれど、次も助かるとは限らない。