「知っているのですか?」

「いや、まあ。そんなに詳しいわけじゃないけど」

「あなたはこの男の裏の顔を知らないんです。自分に刃向かう相手には容赦なく攻撃する男です。私の恋人も少し反発しただけで──っ」

 言葉を詰まらせて手で顔を覆う。

「そんな風には見えなかったけど」

 ライカがぼそりと応えると、女は涙を拭い目を吊り上げた。

「あなたは騙されているんです。レンドルはまだこの男に痛めつけられた傷が癒えず、時々痛みで苦しんでいるんですよ」

 再び顔を伏せて涙を流す。

 その涙が嘘とは思えず、ライカはどうしたもんかと頭を抱えた。

 ──さらに数日後

「またお前か」

「ごめん」

 ばつの悪そうにしているライカにベリルは呆れて腕を組んだ。