「すげえ綺麗な顔してるから流浪の天使なんて呼ばれてたけど、闘ってる最中はなんて言うか、ジャッカルみたいに鋭かった」

 セシエルはベリルと同じく、宛もない旅が好きだった。

 歳よりも若く見える容姿に加えてそんな通り名が付いていた。

「俺も、いつかオヤジのようなハンターになりたいと思った。でも──っ」

 次の言葉が吐き出せずに喉が詰まる。

 震える手を押さえるように強く両手を組んでゴクリと生唾を呑み込んだ。

「オヤジは、俺が先走ったせいで死んじまった……。俺が死なせたんだ」

 どうしてあのとき、指名手配犯がいることを先に知らせに行かなかったんだ。

 オヤジが飛び出したとき、どうして俺も一緒に闘えなかったんだ。