「ベリルだ、停止するまで頼む。発信ナンバーは──」

 事前にでも話をつけていたのだろうか、それだけ伝えて通話を切った。

 話から察するに、ベリルはいつの間にか男に発信器を取り付けていたのだろう。

 逃げ足だけでなく、こういう所も素早いのかとライカは感嘆した。

 そうしてベリルの興味は他に移ったのか、ライカには目もくれずピックアップトラックに足を向けた。

「あんた、なんで狙われてるんだ?」

 捕まえる事に多少の疑問と疲れと、そして追われ慣れているように感じる事に率直な質問を投げた。

「本当に知らないのか。高額ではなかったかね」

「ああ、うん」

 ここまで狙われる理由などライカには思いつかない。一体、この人物には何があるんだろう。