持っているハンドガンを蹴り飛ばし、その勢いのまま回し蹴りを食らわせると男は叫ぶ間もなく意識を失い地面につっぷした。

 なんとも鮮やかな身のこなしにライカは口を開けて見惚れていた。

 ひと蹴りで大の男を気絶させる技は感嘆する他はない。

「ふむ」

 ベリルは転がっている男を見下ろし、とりあえずの終わりに小さく溜息を吐き出す。

「あれは──あの動きは」

 ライカの脳裏にある記憶がベリルの動きとリンクする。

「オヤジ」

 幾度となくつぶやいた言葉は、どこか悔しさも秘めていた。