「噂というものは本人に関わりなく広まる事もある。それを何の根拠もなく疑う事は正しいと思えるか」

 言いつけたあと、ライカに攻撃を示す感情が失せたと判断しハンドガンを腰の後ろに仕舞う。

「あんたは、そんなことが言えるほど罪が無いっていうのかよ」

 傭兵なら人を殺してきてるはずじゃないか。

 捕まえることが主なハンターとはまったく違う。

 戦場での人殺しは確かに一般的な殺人とは別物だけど、人を殺すことに変わりない。

「私には私の背負う罪がある。お前にもお前の罪があるように」

「──っ」

 その言葉にライカは顔を引きつらせた。どこかで似たような言葉を耳にしたような気がする。

 そんなに昔でもないはずなのに、何故だか懐かしく感じられた。