「なんだ──いない!?」

 目の前にいるはずのターゲットの姿が消えて焦っていると、路肩に駐めてあったピックアップトラックが勢いよく走り出した。

「あいつ!? 待て!」

 ガラス越しに見えた顔に車を追いかけるも追いつくはずもなく、小さくなっていく車の後ろ姿に呆然と立ちつくす。

「うそだろ」

 こんな手にひっかかるなんてあり得ない。

 相手が自分よりかなり小柄だったから油断していた。

 ライカははたと我に返り、追いかけないとと同じく路肩に駐めていた自分の車に駆け寄って乗り込む。

 砂色をした大型の四輪駆動車はライカの体格にも大きすぎることはないようだ。