気が付けば、バイト先の新星MUSIC日本支社 社長室からの着信も有った。
だんだんと心配になった俺は、企画推進室の古田室長の携帯に電話してみた。
「モシモシ、桧山ですけど、先程私に電話されましたか!?」
『あぁ桧山君、どうしたんだい!?
私は、電話して無いけど、もしかしたら推進室の誰かが連絡したかもしれないから、ちょっと待ってて!
(おーい、誰か桧山君に電話したか?)
…………
モシモシ桧山君、誰も電話して無いみたいだけど!?』
「そうですか。
分かりました。
それでは失礼します。」
『アッ、ちょっと待ってくれ!
社長が電話代わってくれってことなんで、替わるよ。』
「はぁ……」
『モシモシ、桧山君。』
「おはようございます社長。」
『私が君に電話したんだよ。
実はお願いが有ってね!』
「はぁ、何でしょうか……」
『そんな心配そうな声を出さなくても、今日のデートの邪魔はしないから。』
「ハハハ……
お見通しでしたか!
で、どのようなご用件でしょうか?」
『実は、また新たなプロジェクトチームを作って、遣っていこうと計画しているんだけど、君にそこを手伝って貰おうかなと思ってな!
今度の新しいプロジェクトチームが遣るのは、この前君がポロッと言ってた事なんだよ。』
「この前って…………、アッ!
もしかして、お弁当とかパーティーに出す料理の事でしょうか!?」
『そうそう、それだよ。
芸能プロダクションと食品会社って、普通は結びつけないよね。
何で、君がそんな事を考えたのか、私なりに検討してみたんだよ。
すると、メチャクチャ合理的って言うか、理にかなっているんだって結論に至ったんだよ。
で本題だが、我が新星グループに食品会社を作ろうと思うんだよ。
どう思うかな!?』
「かなり大変な事ですよ。
遣るからには中途半端な会社にはしたくないですよね。」
『そりゃ当たり前だ!』
「そうすると、和洋折衷プラス韓国料理を作れる調理師を集めなければいけません。
本格的な事をするのですから、一流処は集めないとですし、お弁当とかを配達する保冷車も数台いるし、栄養士、食品管理者、調理師の他にも、利益を考えて原価計算から仕入れの目利きの出来る管理者、立食用の道具から弁当箱、挙げたらきりがないですよ。
儲かるのが分かっていても、誰もなかなか手を出さないケータリングの会社、食材費は削れないから、その分スタッフと料理人は、かなり酷使されるって聴いたことが有ります。」
『なんともまぁ、桧山君は詳しいな!』
「実は、うちの伯父さんが一度ケータリングの会社を立ち上げようと調べてみたら、大変で断念したのを横で見てましたから。」
『なるほど!
でも、うちには優秀な人材もいるから、遣ってやれないことはない!って思うんだが、どうかな!?
手伝ってくれるよね!?』
「はぁ!
それは構いませんが、本当に大変な事業ですよ。」
『だからこそ遣り甲斐も有るってもんだろう!』
と、子供が新しいオモチャを見付けた時の様な声で話している。



