デザイン科の教室の前に居た女の子に、
「ねぇ、君!
滝本ちゃん呼んでくれるかなぁ!」
と、最高の笑顔で頼んだら、顔を真っ赤にして
『…ハイ!』
って小さな声で返事をしてから教室の中に入って行った。
そして直ぐに滝本ちゃんがやって来た。
『桧山君、大丈夫なの!?
3000℃近い溶けた金属が飛び跳ねて大火傷おったって聞いてビックリしたんだよ。
昨日の今日なんだもん、まだ疼くんでしょう!?』
「大した事無いさ。
皆が大袈裟に言ったんだよ。」
『ホントに!?』
「ホントさ!
ところで、昨日機械科迄やって来たんだよね!?
何か用事でも合ったのかい!?」
『実はさぁ、桧山君部活やって無いって言ってたからさ、バイトやらないかなぁ?なんて思って!』
「バイト!?
どんな!?」
『実は、うちのパパ、ヒマワリTVの社長をしているんだけど、春から始まった新番組で人手が足りないから大変なんだって。
それで、軟弱ADが2人も倒れて、更に大変な状態になったから元気な高校生のバイトを探してるんだ。』
「と言うと、ディレクターの補佐や、使い走りを、この俺に遣れと言う訳だな!」
『ベ…別に、遣れとかじゃ無くて、時給1000円で、ロケの時にお手伝いしてくれるかなぁ、なんて思って……。』
「で、番組の内容はどんなものなの!?」
『ロケに出るのは、毎週土日の2日間。
都内の観光名所に行って、県外からやって来た観光客に、アイドルの女の子が声を掛けて行くの。
毎週10県以上の人に出会って、1ヶ月以内に全ての道府県人に会えるとミッションクリアして、次のアイドルの女の子にバトンタッチするの。
クリア出来なかったら、罰ゲームで見つけられなかった道府県の中で一番遠い所迄、ヒッチハイクで行って、その地方の名産品を買って来るって番組なの。』
「くだらねぇ事やってんだなぁ。
で、俺は何をすれば良いの!?」
『アイドルの子守から、スタッフの弁当の手配、店舗内に入っての撮影なら、撮影の許可を貰いに行って、後は交換したテープや予備のテープを持って移動したり、撮影が終わった店舗へお礼を言いに行ったり、時には照明機材を運んだり…………』
「まだ有るのかい?」
『何言ってるの?
まだまだやる事はイッパイ有るよ。』



