ライブが終わった後、高山社長が俺と美華を車で送ってくれた。


そしてまた毎日、学校とバイトの日々に明け暮れていたら、アッと言う間に桜の咲く季節がやって来た。


3月に入った或る日、俺は高山社長に呼び出されて新星MUSICの新宿にある日本支社を訪れていた。


だがその日が、俺の人生に大きく影響を与えてくれたターニングポイントになろうとは、この時はまったく思わなかった。


しかし、それは同時に破局への第一歩でもあったのだが・・・・・・


「おはよう御座います。

今日はどういった御用でしょうか!?」


『新星GTS1号店も軌道に乗ったし、カラオケ部門は新たに2号店を新宿、そして3号店を有楽町に同時に出店することにした。

1号店のノウハウがあるので、今度はスムーズに行くだろう。

そこで、今までのチームはカラオケ部門の新規開拓チームとして、店舗出店の為の人材育成などに随時して貰う事になった。

工事が終わるまでに1号店で人材を育成させ、6月1日に2店舗同時オープンすることにしたんだ。

で、君はと言うと一旦カラオケ店から離れて貰って、ここ日本支社の企画室で新たな事に挑戦して貰いたいっていうか、若い君の頭でこれからの新星MUSICの進む道を見つけて欲しいんだ。

最近大学出の社員や、アナログな中年社員は、ここ数年で頭が固くなり安泰と言う日々の上にあぐらをかいている者が多くなったんだ。

ここ数ヶ月、君の働きぶりを見てきて感じたが、君は実に柔軟な思考を持ち、凛とした行動力を兼ね備えている。

この資料を見てくれ!』


「これは!?」


『新星グループの全ての部署と、その内容が記されている。

芸能部門をメインとして、それに追随する全てが新星MUSICだと言うのは知ってるな!?』


「はい。」


『その新星MUSICを母体として、音楽に関係した様々な事業を次々に起こし、今の新星グループが出来上がったわけだが、それを一覧にした。

最初のページを見てくれ!』


「はい。

凄いですね!

こんなに沢山有るんですか!?」


『まずは、貸しスタジオが5店舗

それぞれ地下にライブハウスが在る。』