俺は、勇気を出して立ち上がり一礼をした。


そして、


「初めまして!

私は、工業高校機械科に通う1年生で、桧山隆一と言います。


若干16才で、アルバイトなのに副店長という役職を頂き、皆さんの不満も分かります。

しかし、これも何かの縁ですし、与えられた役職に恥じない仕事をしていきますので、どうか協力しあって凄いお店にして行きましょう。

兎に角、1ヶ月の間、私の仕事を見ていて下さい。

そして、役職に不釣合いだと思ったら、1アルバイトに降格します。

高山社長も、それで宜しいでしょうか!?」


『宣戦布告ですか!

頼もしいですね!

期待しているよ。

それでは、桧山君から何か意見とか営業の方向性に関して何か無いですか!?』


「一応、先日頂いた新店舗の企画書を読んで思いついた事が幾つか有りますので、発表させて頂きます。

まず第1に、普通のカラオケボックスに勝つためには、他店には無い店の売りに成る企画が必要だと言うのは、皆さんも分かっているでしょう!

そこで、私が考えたのは、GTSと言う名前を上手く利用することです。

経営サイドが考えたGTSとは違う視点で、登竜門と言う意味を活かしたお店にしたいと考えていました。

そして出た結論は、高山社長って言うよりは、新星MUSICを利用することです。


このカラオケボックスで歌えば、歌手になるチャンスが掴めるかもしれないって企画を打ち出すのです。

例として、年に数回GTSでカラオケ大会を開くとか、採点機能を利用して、登録してくれたお客様が高得点を出したら2次大会に出場します。

そして、チャンピオンが決まったら、1年間に行われた各大会の優勝・準優勝者を集めて、ファイナル・チャンピオン大会を開催して、チャンピオンの中のチャンピオンが決まれば、新星MUSICと契約して、プロの歌手になれるってシステムです。

そうすれば、カラオケボックスの客動員は増えるし、新星MUSICとしても新たな歌手の卵を手に入れられると言う訳です。

勿論、そのためにはCMをバンバン打って、この企画を東京中の人たちに知って貰わなければいけないのですが…」