「そこ特にボケなくても良いよ!」


『エ~ッ!

突っ込んでよ!

何かスルーされたら自分が寒くなって来たよ!

私は、ただ絵が好きだから入ったんだけど…』


「へ~!そうなんだ

アタシは、この後芸大に進学して、将来は絵本作家に成りたいんだ」


『すご~い!

私なんか、将来的に何を遣りたいかなんて、全然考えてないや!

強いて言えば…お嫁さんに成りたいくらいかな』


「…ォ…お嫁さん…今どき…、アハハ…まぁ有りっちゃあ有りだよね

女の子は皆、素敵な花嫁さんに成るのを、少なからず夢みてるもんね」


『でしょう!』


「ところでさぁ、さっき桧山君と話してたでしょう!?

彼、カッコイイよねぇ」


『エ~ッ!?

そ~ぉ?

何か、変態みたいな事言ってたわよ

チエって、彼の事知っているの!?』


「桧山君とは、学区が一緒だから、小・中と同じ学校に通ってたんだ

彼、優しいしカッコイイから、結構彼のファンも多いのよ

でも、特定の彼女は作らないのよねぇ」


『あの男が優しい!?

ただスケベなだけじゃないの!?』


「そんなこと無いよ

だけど、まさかこの学校を受けてたのには驚いたわ」


『どうして!?』


「彼って、メチャクチャ頭良いのよ

普通科の進学校に行くとばかり思っていたわ!」


『そうなの!?

まぁ私には関係無い話だけどね』


「アッ!先生来た」


『あぁ~あ、ホームルームかぁ』


私達の担任は、西本先生


30才、独身、背が高くて渋めのダンディな感じ


笑うと、目の横に可愛いシワが出来るのがツボにはまりそう


… … … … … …



俺は、1年機械科1組の檜山隆一だ!


小学4年生の時から、極真空手の道場に通っている


俺が中学3年生の頃、高校3年生の橋本さんが、良く俺を指導してくれていた


夏に行われる、土用稽古と言う極真空手の合宿に俺は参加していた


休憩中に、橋本さんがやって来た


「桧山君は、どこの高校を受験するの?」


『押忍、橋本さんお疲れ様です

僕は、国学院を目指しています』


「国学院!?

そんなつまらない高校を受験するのか!

今熱いのは工業高校の機械科だよ!」


『どうしてですか?』


「男女雇用機会均等法って知っているかい!?」