『俺が本社に戻ったのが1月の頭だろ!?』



「そうでしたね。」



『直ぐに、誰の嫌がらせで、背後に誰が居るのか、調査結果が届いて五星(オソン)グループの仕業と判った後直ぐに、五星(オソン)グループの身辺調査を知り合いの人間に頼んだのさ。』



『それって、探偵みたいなところですか!?』



『まぁ、そんなところだよ。

韓国の探偵はね滝本ちゃん、日本の凄腕探偵並の個人経営の探偵事務所が、沢山あるんだよ。』



『そうなんですかぁ!!』



「私も知りませんでした。」



『ハハハ、そうか。

それでだな、まずは五星(オソン)グループの事業の中で、一番母体となっている通信機器のO-Sung電子の不正を暴いて、揺さぶりを掛けようと色々調べていたんだ。』



「そんなに簡単に調べて判るんですか!?」



『そりゃあ、難しかったよ。

それでだな、何人かの O-Sung電子の社員を買収して、うちの陣営に取り込んだんだ。』



「スパイですね。」



『まぁ、そんなところだ。

探偵に依頼していたのは、重要なポストに着いている既婚男性の中で、ギャンブルや女にだらしないのをピックアップしてもらうことだったんだ。

そして、何人かのそういった人物に巧く接触して、カジノで大借金を作らせて、会社の金に手を付けさせる方向に仕向けたり、女を使って浮気をさせて、その女を使って会社の内情を聞き出したりと、まぁ遣ってることは法律ギリギリのところだったけど、面白いことを掴んだんだ。』



「どっちがマフィアか分からないですね……。

それで、何を掴んだんですか!?」



『聞きたいか!?

それじゃあ教えてあげよう。

O-Sung電子の中で、一番稼いでいるのが O-Sungモバイルなんだ。

まぁ、分かりやすく言えば携帯電話を作って売ってる会社だ!

そのO-Suongモバイルの販売している自社製携帯電話の中には、持ち主の個人情報を勝手に入手して O-Sung電子の方に送る機能が内蔵されているんだよ。 』



「それって完全に違法ですよね!?」



『勿論だよ。

そこで、試しに数台のO-Suongモバイルが発売している商品を何台か購入して、うちの新星通信のラボで解体して調べさせたんだよ。

そしたら案の定、どの携帯電話の中にもデータを勝手に送るように仕組まれた装置が組み込まれていたんだ。』



「酷いですね!」



『だろう!

そこでだ、それをうちのインターネット事業部にお願いして、その事実を公表したんだ。』



「五星(オソン)グループとしても、かなり慌てた事でしょうね‼」



『そりゃそうさ。

釈明会見でシドロモドロになってたよ。

株価も一気に暴落したしね。

それでも、しらを切り通そうとしたから、もう1打撃を与えるために、こっちが掴んだ幾つかの五星(オソン)グループのスキャンダルを一斉にタブロイド紙に流したのさ。』



「どんなスキャンダルを流したんですか!?」



『タブロイド紙の、A社に流したのは脱税ネタで、B社に流したのは去年の年末から社長の椅子に座る、会長の弟の覚醒剤密売の証拠の映像だよ。』



「ほんとに財閥なんですか!?」



『韓国の財閥なんて、こんなもんよ。

特に2世になってからは酷いもんさ!』



「それで、どうなったんですか?」



『勿論、今現在、取り調べの真っ最中だよ。』



『そりゃそうですよね。』



『他にも、過去に揉み消した飲酒轢き逃げの証拠の監視カメラの映像も探し出したし、会長の息子の傷害事件も、揉み消した警察所長共々、現在取り調べ中だよ。』



「良くそこまで短期間に沢山見付けられましたね!?」



『そりゃ、やつら財閥どもは、自分達に刃向かう者なんて居ないと思っているから、証拠隠滅なんてしてないし、刃向かえば潰せば良いと思っているから、のんびりと構えていてくれたからね。』



「財閥相手に、警察はちゃんと動いてくれているんですか!?」



『さぁ、どうだろうなぁ。

表向きは、事情聴取での任意同行で連れて行ってはいるが、本当に取り調べをしているかどうかは分からないよ。』



「そんなんで大丈夫なんですか?」



『良いんだよ。

その間、時間を稼げたからね。

五星(オソン)グループ内がゴタゴタしている間に、こっちは急ピッチで工事を進められたし、財閥がヤンウイ派と結託して暴力事件を起こしたと、タブロイド紙で騒ぎ立てて貰ったから、工事を邪魔しに来るチンピラも居なかったしね!』



「それでも、工事はまだまだこれからでしょ!?」



『あぁ、そうだね。

その為に、五星(オソン)グループ内部にいる協力者に頑張ってもらったんだよ。』



またもや、ニヤリと不敵な笑みを浮かべた新星グループ会長、高 賢主(コ・ヒョンジュ)氏であった。