KISS AND SAY GOOD-BYE






私は、五星(オソン)グループのトップに立つ男、宋(ソン)会長こと宋 祐渉(ソン・ウソプ)氏が、ほぼ毎日訪れる会員制高級ラウンジ【L&R】に遣ってきている。



私自身も会員なので、特に怪しまれる事もなく、すんなりと入店し、奥の10人くらいは座れそうな高級黒革のソファーにドッシリと腰を沈ませた。



テーブル横のツールには、私の専属秘書兼ボディーガードの崔 敏宇(チェ・ミヌ)君が座っている。



彼は、大学在学中に韓国全土で行われたテコンドー大会で、3年連続優勝を成し遂げた強者だ。



『高(コ)社長、宋(ソン)会長は現れますかね!?』



「ほぼ毎日、この時間帯に遣ってくるって聴いているから、もうそろそろ現れるんじゃないかな!?」



『会ってどうなさるおつもりなんですか!?』



「宣戦布告をしてきたのは、奴の方なんだから、たっぷりとお礼をしてあげないとな!」



と言いながら、ニヤリと口元を歪めた。



『社長、笑顔が恐いですよ。』



「此方は、現場のスタッフが大怪我させられたんだからな!

それ相当のお礼をしないと!

それに、こっちはもうヤンウイ派の後ろに五星(オソン)グループが居ることくらい知っているんだと、相手にも分からせた上で、これからの私の恐ろしさを知って貰わないと!

じゃないと、これからも何度も遣って来られても困るからな!」



『相変わらずですね社長!

私は、何をすれば宜しいですか!?』



「特に何も!

まぁ、もし仮に向こうが暴力で来た時は、一発殴られてくれ!

それで正当防衛が成り立つから。」



『そんなぁ~‼

まぁ、その時は倍返しにしてやりますけどね!』



「あんまり派手に遣り過ぎて、過剰防衛だけにはなるなよ。」



『はい。』



「さぁ、宋(ソン)会長のお出ましだよ。

相変わらず、チンピラみたいなボディーガードを5人も引き連れて、財閥の二世と言うよりは、チンピラを従えた若頭みたいだな!」



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『これはこれは新星グループの高(コ)会長じゃないですか!

御無沙汰しとります。

最後にお会いしたのは、ソウル市長の誕生パーティーでしたね。

お元気でしたか!?』



「まあ、お陰さまで元気に遣ってますよ。

ところで宋(ソン)氏、去年の年末に会長に就任されたそうで、おめでとうございます。

通信機器の方も、売り上げが好調そうで、なによりです。

できれば、通信機器だけにされた方が良かったんじゃないですか!?」



『それはまた、どういう意味ですかな!?』



「なんでも、最近はホテル経営にも興味があるそうじゃないですか!

馴れないことは止めておいた方が無難じゃないですかね!?」



『どういう事かね!

うちは、泣く子も黙る五星(オソン)財閥なんだよ!

成り上がりの芸能事務所の社長なら成り上がりらしく、儂等の前では大人しくしとくのが身のためだぜ!』



「ついに本性を現しましたね!

ヤンウイ派のチンピラを雇って喧嘩を仕掛けてくるとは、財閥の遣ることとは思えないけど、あんたをみてると納得だ!

うちの土地にちょっかいを出すのを止める気はないのか!?」



『何の事を言ってるのか、皆目見当も付きませんなぁ!』



「そうですか。

そこまで惚けるんだったら、此方は此方で勝手にさせて貰うよ。

その代わり、後で詫びを入れてきても、もう受け付けませんからね。」



『ハハハ!

愉快だね。

あんたらが、財閥相手に何か出来るとでも思っているなら、大間違いだぜ。

韓国の経済は、儂等のようなお金も権力も持った、選ばれた一握りの階級の人間が動かしているんだよ。

警察のトップも、勿論儂等に逆らおうなんて考える奴は一人も居ないぜ。』



「宋(ソン)会長、おめでたいねぇ。

分かりました。

それじゃあ、1ヶ月以内に貴方に地獄をお見せしましょう。」



『地獄を見るのは、そちらじゃないのかね!?

ここから無事に帰れるとでも…?』



「こんな、沢山の人の目と防犯カメラの前では、いくら金も権力も持った財閥様でも、チンピラみたいな真似は出来ないでしょう。」



『………。』



「まぁ、近い内にそちらに挨拶に行きますんで、その時はお手柔らかに頼みますよ。」



『ほざいてろ!』



「敏宇(ミヌ)君、行きますよ。」



と言って、新星グループの高(コ)会長は、秘書の崔(チェ)氏と共に、会員制の高級ラウンジ【L&R】を後にした。