KISS AND SAY GOOD-BYE






翌年1月6日、獨孤 美栄(トッコ・ミヨン)氏が日本に遣ってくるのと入れ替わりに、高(コ)社長は韓国本社に向かわれた。



予定より1ヶ月早く本社に戻ったのは、新星グループ内に在る系列会社の新星不動産が、韓国マフィアの悪どい地上げでトラブルに巻き込まれたからだと、後で李(リ)支社長から聴かされて驚いた。



李(リ)支社長の話によると、韓国ではよく有ることで、例え建設中の他人の土地でも、その土地にうまみがあり、手にいれたいと思えば、躊躇なくマフィアの嫌がらせが始まるらしい。



韓国は、龍山区(ヨンサング)漢南洞(ハンナムドン)に在った小・中一貫の私立校が廃校になり、50000平方メートルもの土地が売りに出てたのを、いち早く嗅ぎ付けた新星不動産が、高(コ)社長の命令で買い付けたのである。



去年のGW(ゴールデンウィーク)明けに手に入れた5ha(ヘクタール)もの土地の上物(うわもの)を、解体して更地にし、造成も終わり、地質調査も終わり、漸く建築の許可が降りた矢先の事であった。



かねてから、高(コ)社長はコンサートの出来る巨大音楽ホールを、自社で運営してみたいと思っており、ずっとそれが叶う広い土地を探していたので、本社と目と鼻の先の漢南洞(ハンナムドン)で見つけた時は、子供の様に大喜びしたものだ。



しかし、その土地に目を付けたのが韓国マフィアのヤンウイ派である。



そこに、ホテルをぶっ建てて、地下に巨大カジノを作ろうと目論んでいるそうだ。



新星不動産から委託された関連企業の建築会社が、基礎工事を始め出すと、近隣住民が反対運動を始め、その中心となって騒いでいるのがヤンウイ派の構成員と言うのだ。



毎日、木刀や金属バットを振り回し、建設作業員と衝突していると言う。



年内は、それでも騒ぐだけで手は出してこなかったのだが、年明け早々に建設作業員が大ケガをさせられたと聞いて、怒った社長が急遽韓国へ向かったのだそうだ。



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「それで副社長、ヤンウイ派だと言うのは、どういった経緯で確信したんだ。

相手が名乗ったのかい!?」



『いえ社長、相手は一般市民を装っていましたが、今回騒ぎを起こした連中をこちらで撮影して、それをソウル市警に提出して分かったんです。』



「で。こちらの被害は!?」



『はい、一人が金属バットで鎖骨を折られたのと、二人が足場用のパレットの下敷きになって、足などを骨折しています。』



「被害者への対応は!?」



『直ぐに病院に連れていき入院させました。

費用は、取り敢えずこちらが立て替えて、後で相手からきっちりと精算するつもりです。』



「わかった。

こちらの顧問弁護士に話を通しておいてくれ!

しかし、カジノって言ったって、ホテル経営をマフィアの連中が出資出来るほど生易しい世界じゃないからなぁ。

ヤンウイ派の後ろには、必ず大きな企業が糸を引いているに違いない。

心当たりはあるかな!?」



『ホテル経営と聞いて、一番に疑ったのが格虎(ギョッコ)グループなんですが、あそこは今、長男の陳 西主(チン・ソジュ) と次男の陳 西彬(チン・ソビン)の兄弟がメチャメチャ揉めているから、そんな余裕は無いだろうと他を調べていたら、最近通信機器で急成長を遂げた五星(オソン)グループがどうやら怪しいようです。』



「五星(オソン)グループって言えば、最近良い噂を聞かないよなぁ。

財閥の2世の中じゃ、一番質(たち)が悪いって、有名だからなぁ。

この間も大麻(たいま)で捕まってたし、弟はひき逃げで逮捕されてたよなぁ!?」



『はい、そうです。

それでも、あっという間に出所していたし、いつの間にか長男の方は社長職に着いています。

これまたひき逃げで逮捕された弟も、起訴されることなく大手を振って町中を闊歩してます。

副社長になったともきいてます。』



「いったい全体、韓国警察はどうなっているんだ!!」



『まぁ、財閥と警察は上で繋がってますからねぇ。』


呆れて物が言えない!!!