T工業大学は、無機材料工学科に通っている谷真里江と、武蔵野芸術大学の陶芸研究学科で頑張っている吉川陶一郎が付き合い出したのは、武蔵野芸術高校の三年生になって編入した、進学クラスで出会ってからだ。
あれからかれこれ1年と8ヶ月、けっこう続いているもんだ。
「それにしても吉川、未だに谷さんにフラれて無いってことは、けっこう頑張っているんだな!」
『当たり前だろ。
大学も離れているから、会えるのは殆ど週末なんだけど、真里江っちん所まで迎えに行ったりデートをするために、車の免許だって取ったし!』
「そう言えば、ガレージに停めてあるBMWって吉川のだろ!?」
『おう、そうさ!
陶子がBMWを親父さんに買って貰ったら、それを知った俺の親父が、俺にはもう1ランク上のBMWを買ってくれたんだ。
相変わらず張り合ってるから、呆れちゃうけど、今回ばかりはラッキーだったよ。
乗り心地も最高だし。』
「相変わらずだなぁ‼」
そんなおれは、W大学の人間科学部は人間科学科で頑張っている。
俺の彼女の美華は、同じ大学の文化構想学部だが、俺のキャンパスは埼玉県にあるから、大学では殆ど会えていない。
まぁ、バイト先の新星MUSICでは毎日会ってるんだけどね。
同じ大学で、創造理工学部の建築学科で頑張っている平井誠は、これまた同じ大学の国際教養学部に通っている工藤愛と交際中だ。
二人は、婚約もしていて、マコちゃんの実家で一緒に住んでたりもする。
『ところでさぁ、今度の正月明けの初窯焚きで出来上がった作品を、大丸で展示即売会を遣るんだけど、よかったら観に来てくれよ。
俺の作品は、まだ出せるようなもんじゃないけど、親父や御弟子さん達の作った作品が、安いのから高価なもんまで色々有るんだけど、良かったら1ヶでも良いから買ってくれたら嬉しいなぁなんて……。
陶子(従妹で分家の一人娘)ん所の分家と、共同で遣るんだけど、親父がさぁ、分家の奴らに売り上げで負けるなよ!なんて事になってるわけよ!』
「マジでお前んとこ大変だな!」
『そうでしょ!
私も、たまに陶一郎ん家に遊びに行くけど、作業中はそれこそ一心不乱って感じなんだけど、休憩中の話を聞いていたら、分家にだけは!ってのが口癖みたいに言ってるんだもん。』
「真里江が、吉川ん所に嫁いだらおさまるんじゃないの。
こんなに綺麗な嫁さんが長男の所に嫁いでくれたって!」
『桧山君、お世辞言っても何も出ないわよ!』
「ハハハ!
吉川、谷さんを大切にしろよ。」
『そうだよ。吉川君。
僕と愛さんの様に、仲良くな。』
「それはそうと、正式に婚約したって聞いたけどマジで!?」
『うん、愛さんの両親から僕の両親に打診があってさ、入籍や式は卒業して落ち着いてからだけど、婚約だけはしとかないか!?みたいな話になったんだ。』
『私の父も母も毎日忙しくて、なかなか一緒に過ごせなくて寂しいんじゃないかと、それならいっそのこと婚約だけでも先に行って、私の永久就職先を決めてしまおうと、この間婚約式をしたんですの。』
「それで、今はここで生活してるの!?」
『はい、誠さんの御母様に、毎日色々と家事を教わっていますのよ。』
『愛ちゃんは、飲み込みが早いから、一度教えたらちゃんと次からは一人で出来るんだから、たいしたもんだわよ。
息子の嫁には勿体無いくらいなんだから。』
「本当に嬉しそうですね、おばちゃん。」
『当たり前だよ。
最高の黄金の嫁だからねぇ。』
『 妈妈(ママ)、愛さんが照れちゃってますよ。 』



