『りゅうの本名の隆元(リュウォン)って事と一緒なんだね。』
「そうだよ。
最近の若い人達は、漢字表記をしないハングル名も、韓国で増えてきているって、社長が言ってたけど、俺の場合はばあちゃんが名付けてくれたから、こんな古くさい名前なんだ。」
『私からしてみたら、隆元(リュウォン)って名前が斬新なのか古くさいのか、全く分からないんだけど。』
「そうだよね。
日本の漢字の読みも一緒だけど、隆って漢字をハングル語で読んだら【ル】とか【ユン】とか【リュ】とか【ユ】など、色んな読み方があるんだよ。」
『へぇ、そうなんだ。』
『私の【律】って漢字も、【ユル】って読み方の他にも、【リュル】とか【チン】とか【ジン】って読み方が有るんだから。』
『へぇ、そうなんだ。
じゃあ、私の名前もハングル語で読めるのでしょ!?』
「そうだよ。
美華の美は、そのまま【ミ】って読むんだ。華は、【ファ】って読むんだよ。
だから、美華はミファって読むんだ。
実際、韓国にミファって女性は沢山いるよ。」
『じゃあ、これからは私の事はミファssiって呼んで貰おうかな!?』
「俺の事は……りゅうのままで!
マジでリュウォンって日本で言ったら、昔の戦国武将並くらいには古くさいんだから。」
『もう、隆一諦めなさい。
美華ちゃんも待ってるんだから、さっさとコーヒー飲み干して柳澤先生の作品を観に行くわよ。』
「はーい。」
『美華ちゃんには、特別に先生に個人的に会わせてあげるからね。』
『本当ですか!?
ありがとうございます。
りゅう、早くコーヒー飲んで!』
「わかった。わかった。」
昼食を終えた柳澤紀子は、自分専用に用意されている控え室で、一息入れていた。
と、そこへ!
『先生、失礼します。
桧山です。』
『おや、副館長さん、どうされましたか!?』
『実は、うちの甥っ子が彼女連れて先生にお会いしたいって来てるんですけど、お時間宜しかったでしょうか!?』
『あらまぁ。
そうなの。
宜しいわよ。
中へお呼びして。』
と言うわけで、俺たちは柳澤画家の個人控え室に、お邪魔させて貰ったのである。
「お邪魔します。」『お邪魔します。』
俺と美華は、深く頭を下げて挨拶をした。
すると、柳澤先生は、快く招き入れてくださり、色々と興味深いお話をしていただき、美華には個人的に銅版画の手解き(てほどき)をして貰っていた。
楽しい時間は、あっという間に過ぎていき、俺たちは叔母と柳澤先生に別れを告げた。



