研修から帰り現場に復帰して、忙しい日々を過ごしていた。
紅葉の時期も過ぎ、気が付けば街はクリスマスのイルミネーションで彩られ、コートやダウンジャケット等を着込んだ人達が、白い吐息を吐きながら歩いている。
今日はクリスマスイヴの土曜日。
俺は、美華を愛車の助手席にのせて、横浜の中華街に遣ってきていた。
『それにしても今日と明日の2日、休み取れて良かったね、りゅう!』
「2ヶ月前から玄田課長にお願いしてたからなぁ。
その代わり、夏休みは毎日バイト入ったし、企画も上げたし、通したし、研修から帰ってきてからも社員並みに働いたんだから!
大学の方の、出席日数は気になるところだけど、この日だけは絶対って拝み倒したんだから。」
『研修中ってさぁ、全然連絡も取れなかったじゃん!?』
「あぁ、携帯電話取り上げられてたからね。」
『寂しかったんだから!』
「俺だって!」
『研修から帰ってきてからも、毎日忙しそうにしてるし…。』
「そりゃあ、全て今日と言う日の為に頑張ってたんだから。
それにしても、良く外泊を許してくれたね!?」
『ママはうるさかったんだけど、パパがママを説得してくれたんだ!』
「パパさん、話しワカル!!!」
『将来のお婿さんだもんね!
だから、絶対に私から離れられないんだからね!』
と、おどけてみせる。
「もちろん、美華が嫌だと言っても離れないんだから。
俺の嫁さんになるのは美華しか考えられないんだから。」
『私だって!
りゅうが、他の女性と話をしてるだけで、私はイライラしてるんだからね!』
「仕事や学校のツレに対しては勘弁してくれよ。」
『い~っや!
スーパーのレジのおばちゃんにも、社員食堂のおばちゃんにも優しく微笑んだりしてほしくないんだから。』
「ハハハ…。
そればっかりは…、まぁ気をつけるけど、ハヌルちゃんにも焼きもち焼くもんなぁ…。」
『あの娘が一番だめ!
将来、絶対に別嬪さんになる顔をしてるんだから。』
「怖ぇ~‼
光源氏計画なんて考えてないから!」
『私を悲しませないでね、りゅう!』
「あぁ、勿論だとも。
他の女性には絶対に目移りしないから、俺を信じて!」
『うん、わかった。』
なんて話をしているうちに、車は横浜の中華街入り口横の駐車場に到着した。
徐行しながら、車を有料駐車場に停めて、俺と美華は暖かい車内から、外に出た。
「さすがに車から降りたら、半端無く寒いな!」
『顔が…、顔が…凍るよぉ。』
「ネックウォーマーして!」
『うん。
早く、あそこに見える豚まん屋さんで豚まん買おうよ。』
「そうだね。
あれ食べたら、暖まりそう。」
『おじちゃん、豚まんちょうだい。』
「こっちの海鮮もお願いします。」
二人で豚まんと海鮮まんを頬張りながら、歩いていた。



